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中村雅楽シリーズ。穏やかな語り口で物語が語られる。

ドイル短編集が最適な編者を得て出版されるのは喜ばしい。入手難だが、新潮文庫版や中公版と合わせて持ちたい。

季刊落語編集部間宮緑嬢と牧編集長の謎解きシリーズ第三弾。 落語家さんの修行の大変さ、男の嫉妬の怖さ、芸を極める心構え等々落語を芯に様々な切り口で楽しめる逸品です。

ざっくりとした印象で言うと、2時間のミステリドラマのような作品でしょうか。ラストの追跡からの逮捕劇は、なかなか迫力がありました。 冒頭の一節は、ホームズを意識しているのかなと思わせるような、観察眼で人々の事が分かるという自己紹介的な内容です。主人公が「わたし」として一人称で語られていくのは、D・フランシスの作品に似ているかなと感じました。 父親から辻馬車を相続した主人公は、雇用されていない個人タクシーのような存在。乗せた客に違和感を感じ、好奇心を抑えられず観察する詮索好きの彼。警察からの呼び出しでその客に再会したのは死体安置所。その殺人容疑で仲間が拘束され、真犯人を見つけようと動き出した彼に、ロンドンを二分する犯罪組織がそれぞれ脅しをかけてくるなか、彼は御者仲間の人脈を活かして少しずつ捜査をしていく。 辻馬車の日常を織り交ぜながら、彼の父親の副業、GFが目指す劇場、御者仲間との労働組合結成、姉の夫の失踪、犯罪組織に警察からの圧力と、結構話が広がりすぎてるかなと思いましたが、最後に全てが関連しているようになっていました。義兄の行方など決着したと言えない部分もありますが、いまのところシリーズとなっていないとのことです。

四部作のラストですが、まだまだ続けられそうな深いネタです。

気軽に読めるミステリー。東京から京都に着くまでに読みきりました。ゲイもドラッグも出てこない(ジュナイブルだから当たり前か)健康的なアメリカを楽しめます。